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それぞれの過去 紫音編 ~不安と愛情~
紫音過去話その2。
(なんか今日は騒がしいなぁ。)
紫音は騒がしさで目が覚めた。
原因を探るためこっそりと部屋を出て、声のする空き部屋へと歩いていった。
静かにドアを開け、会話を聞くために髪の毛を掻き上げ、聞き耳を立てた。
「今日、この別荘に新しく子供が来るんですって?」
「そうなのよ。なんでも旦那様と奥様の間に生まれた新しい子で、女の子だからここに送り込ませるらしいのよ・・・。」
「で、その子はビーストで奥様似の黒い髪の子らしいの。」
「へー。・・・にしても、酷い話ですねぇ?男の子じゃないからって誰からも祝福されずにここに送られるなんて。」
「仕方ないじゃない?この家ってそういった方針だし、旦那様自体誰にも逆らえないしー。」
「やーねぇ・・・。」
三人のメイドがその部屋の掃除をしながら会話をしていた。
紫音はそっと部屋を離れていった。
(お継母さま、子供生まれてたんだ・・・。しかもその子がここにやって来るんだ。)
紫音は少し複雑な気分になった。
自分と同じ理由で別荘に幽閉される“妹“。
妹が出来たのはうれしいけど、大好きだった母が死んですぐ再婚した相手の子供。
そんなヤツと仲良くなれるかどうかは分からない。
きっと新正妻の子だから私の事なんて皆ほっといて今度は彼女の世話ばかりするに違いない。
そしてすぐに私の事なんて忘れるに決まっている。
・・・怖い。
この感情はなんだろう?
そう思い、朝食を取る為に食堂に向かった。
「コック長、今日の朝食はなに?」
「あ、紫音お嬢様、丁度いい所に。」
「え?」
「もうすぐ貴女の“妹“がこちらに到着します。私と一緒にお迎えに行きましょう。」
そんな、いきなりすぎる。
そう思いながらも顔には出さず、紫音はフンと鼻を鳴らした。
「お嬢様?」
「私に妹なんていない。いいえ、『いらない』の方が正しいのかもしれないわ。」
「どういう、事ですか?」
「・・・理由なんて、あるわけないでしょう?」
紫音は言って少し後悔した。
妹が来るのは少し嬉しいからだ。
しかし、言ってしまってはもう遅い。
コック長は驚きの声とは裏腹に少し微笑んだ。
それが紫音にとって居心地が悪くなる。
「何?気味が悪いんだけど・・・。」
「お嬢様、それは“不安“というものですね?」
「・・・不安?」
紫音は基本、この暮らしに不自由は無かった。
母が、自分のために沢山プレゼントをくれ、定期的に会いに来てくれた。
そのせいか、“不安“や“やきもち“なんて感情を抱くことなんて無かったのだ。
「貴女はいままで私達と一緒に暮らしていたから分からないようですが、今度はその愛情が向こうにのみ向けられるのが怖い・・・違いますか?」
図星だった。
しかし、『愛情』という言葉が引っかかった。
「愛情?」
紫音が聞いたらコック長は紫音と目線を合わせるために少し屈んだ。
「はい。愛情です。私達は貴女のとこがとても大切です。尊敬もしています。ですから貴女を放っておく事なんてありませんよ?」
知らなかった。
いつも紫音は彼らは父親からお金を貰っているから別荘と、紫音の世話をしぶしぶしていたのかと思った。
いつも向けられる笑顔も、仮面の表情であって本当は裏で自分の陰口を言っているのかと思った。
だから、愛情や尊敬だなんて・・・。
「ですから私たちの事を信じてください。」
「信じる・・・。」
「はい。」
「分かった。貴方達のことを、信じる。 そして・・・あの子の事も愛情をもって接するわ。有難う、コック長。」
「どういたしまして。」
そしてコック長は立ち、2人はようやく妹を迎えに行くために玄関に向かって歩き出した。
「ねぇ、その妹の名前は何?」
「名前、ですか・・・。たしか・・・。」
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