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それぞれの過去 紫音編 ~恐怖~
紫音編3話です。
「エイナ。 こんな所にいたの?」
ニューデイズにある人里離れたとある別荘。
そこの中庭で紫音は、花に水をやっている少女に声をかけた。
エイナと呼ばれた少女は肩の所で切られた黒い髪の毛を揺らし、こちらを向いた。
その顔は紫音ほどではないが白く、大きな青い瞳を持ち、耳は髪と同色で垂れていた。
歳は6~7歳位といったところか。
「おねーさま!起きるの遅いですよー。」
「はは、ご免ご免。 昨日夜遅くまで勉強してたからさ。」
「おねーさまって本当に勉強が好きですよねー?私、苦手で・・・。」
そういってエイナは顔を伏せた。
紫音はエイナの頭に手を置き、
「大丈夫だよ 人には得手不得手があるし。 それに戦闘技術はエイナの方が得意じゃないか!」
と、ゆっくり撫でながら言った。
確かに純枠のビーストであるエイナの方が力が強く、近距離攻撃などはかなりの好成績を残している。
しかし半分ビーストの血が入っているとはいえ、ニューマンの血が強く出ている紫音は知力やすばやさこそ高いが力や防御などが弱くあまり近距離戦はあまり得意ではなかった。
そもそもなぜ年中屋敷の中にいるのに戦闘を強いられているのかというと、例のコック長が回りに内緒で「これから何があっても良いように」というなにか意味深な理由できている。
たしかに疑問が残るが、そのおかげでエイナとの距離が縮まったし運動不足の解消にもなった。
「そーですかぁ?私、たたかうのトクイですか?」
エイナはそう良いながら一気に目を輝かせていた。
なんか、単純だなぁ・・・。
紫音はそう思いながらも、まぁそれがこの子のいい所なんだけどねと訂正し微笑んだ。
「うん。すごいと思うよ? 私もああやって格好良く戦えたらなぁっていつも思うもん。 だから、そうやって落ち込まないの、ね!」
そして今度はエイナの手を握り、「朝食食べてないんだろ?だったら一緒に食べよう。」と言って歩き出した。
「うん!私、今日はナナットウ出るかな?」
「どうなんだろう・・・。ってかエイナって本当にナットウ好きだね?」
そういって中庭にはジョウロと綺麗な花だけが残った。
「おねーさま、いつも勉強ばかりしてますけどどうしてなんですか?」
朝食中、今まで口を開かなかったエイナが珍しく口を開いた。
紫音はナットウを粘る為に動かしていた箸を止め、こちらを向いた。
「それは、まぁ・・・。ここを出たときに就職できるようにだよ。」
それは事実だった。
しかし、エイナは首をかしげ
「え?私達、ここから出られるの?」
そう言った。
確かに普通の人ならどうって事ない疑問だったが、ここから出たことが無い2人にとっては重大なものだった。
紫音は知っていた。ここの書物質に置いてある書類だと、ここに送り込まれた少女達がここから出て行ったという記録は一切ない。
いや、記録されてないだけで実は・・・、という考えもあったがほかの資料も探してみたところ皆必ず、20歳の誕生日に死亡している。
偶然にしては出来すぎるし、となると病気か誰かに殺されたかということになる。
ちなみに紫音は18歳。
その説が正しいと2年後に紫音は死亡することになる。
エイナが言った疑問はそういったものではなくきっと純粋な意味で「出られるの?」と言ったに違いないが紫音にとっては恐怖心を煽るものとなった。
死。
数年前に母の身に起きた死。
すべて者に訪れる死。
それが、2年後に何らかの形で訪れる。
私自体、死んでも別に平気。
お母さまの所に逝けるもん。
でも、私が死んだ後この子は?
確かに最近エイナと同い年くらいの使用人が入ってきたから会話や遊び相手には困らないだろう。
だけど、この子が20歳になったらきっと・・・。
紫音の手はいつしか振るえ始め、顔色は一気に悪くなりうつむいていた。
「ちょ、おねーさま!? 大丈夫? 気分悪いみたいだけど・・・。もしかして私、悪いこと言った?」
エイナは焦った表情で椅子を降り、紫音の元に走っていった。
だが紫音はそれを止め、
「いや大丈夫。・・・にしても君は残酷な事を言うなぁ。」
と後半は誰にも聞こえないように言った。
子供の癖に・・・。いや、子供だからこそ、か。
紫音は席を立ちながら思った。
「コック長、ご馳走様。もういらないわ。」
「紫音お嬢様?・・・はい、分かりました。」
紫音は部屋に戻りながらある事を考えた。
それは、自分のこれからについてである。
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